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用意するもの、卵1個 ニラ適量。)




「ほんとうに、これで・・・?」

麻衣は戸惑っていた。

「フフフ・・・」

そんな麻衣を尻目に、御奈緒は純白に輝く楕円形のそれを、手の中で弄んでいる。

「ア・・・」

小さく麻衣が呻いた。

御奈緒は、弄んでいたそれを乱暴に角へ叩き付ける。

乱暴さの内に潜むしなやかさ。

グニョリ・・

漆塗りの椀にぶちまけられる情熱。

「さあ、よろしくってよ」

漆黒の瞳の奥を輝かせて、御奈緒はほくそえんだ。

「え・・・ええ」

麻衣は震える箸をそっと椀に沈めた。

ブニョ・・・

デリケートな膜がはじけて、あふれ出す黄色。

(まあ・・・)

箸を握る手に、もう戸惑いの色は無かった。

火がついたようにかき混ぜる麻衣。

グチャグチャグチャ。

椀の中は、まるで台風の日本海・・・

(この子・・・・)

「もう、そろそろいいわ」

ハアハアと吐息を漏らす麻衣の目の前に現れた珍入者の鼻を刺す香り。

「こ、これは?」

「そう、ニラよ」

ニラ・・・麻衣の目が子犬のように潤む。

「さあ、入れるわ、お混ぜなさいな」

液体に沈む緑。

「あ、ああ〜!そんなにもッ!」

「入れるわ、入れるわ、フフフ」

「あッダメそんな!そんなにも!」

「入れるわ、お混ぜなさいな、お混ぜなさいなー!」

「いけませんわ!そんな!ニラが大量に!卵よりむしろニラのほうが多いなんてェ!」

「フフフ」

「あッそんな、ニラ・・・ニ、ラァァァァァァアア!!!!!!」





・・・・・・・・・・


じょうわわわわわああああん。


熱された鉄板の上で、ニラ タマが踊る。

白く輝くどんぶり飯の上に、半熟のニラたま。

白銀のゲレンデに雪解けの装い。


「それから?」

「以上よ」

「卵とニラ混ぜて焼いて飯の上にのっけただけだなんて・・・ヒドイ」

うなだれる麻衣に、やさしく、そして冷静に御奈緒は言った。


「これが大人の料理というものよ・・・・さあ、カッ込みなさい」






                        (江藤ゴナオ著:『めんどくせえ日のお手軽レシピ』より抜粋)

※本当の山本麻衣を知りたい方はmaimaiHP